エバートン戦術観察日記

プレミアリーグに所属するエバートンを戦術的に分析するブログです!

20/21 PL 第10節 エバートンvsリーズ

リーズはビエルサが率いているので注目はしてましたが、しっかり見てはなくて、攻撃に重きを置いて、マンマークというのが昔からの印象です。ただ最近はマンマークとゾーンは併用しているみたいな話も誰かのブログで見たきがする。エバートンとしては、フラム戦のディフェンスを見て大量失点もあり得るなと心の隅で思いながら見たのが正直なところ。

 

フォーメーション

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エバートンはフラム戦に続いて433。ディニュが怪我してそこにイウォビ、RWBにはデイビスが入った。ハイボールより裏抜けを警戒してか、3CBもミナからホルゲイトに変更。個人的には、HVにはスピードがあってボールを運べる選手がいいなと思っていたので3CBならこの3人でこの配置がベストかな思っています。やっぱりホルゲイトは左の方が良いですね!一方リーズは4141。ただポジションチェンジが多いかつマンマーク気味なのでこの選手の配置にほぼ意味はなさそう。

試合内容

前半、エバートンは343の形でビルドアップ、リーズは最終ラインで数的優位を作り、フィリップスとハリソンが一列上がり、トップは相手CBを一人余らせる。

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リーズはこのマーカーを基準にマンマーク。ハリソン、バンフォードはボールサイドのCBを優先的にみる、例えばホルゲイトがボールを持ってば、バンフォード→ホルゲイト、ハリソン→キーン。

エバートンは3CBの数的優位を生かし、両HVがドリブルで運ぶことで相手を押し込む。
やり方の一例としては、最初は低めの位置をとるWBデイビスに当てて、相手の2トップのプレスを右サイドに引きつけGK経由で逆サイドのHVホルゲイトに渡す、といった感じ。
特に5:00のビルドアップはゴドフリーのドライブから、ハメスがタッチライン沿いに位置を取ることでできたスペースをドゥクレが使い、ドゥクレが降りたことで生まれたスペースをDCLが使い、デイビスのクロスからドゥクレが決定機を迎えるなど、良い形が作れていました。

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エバートンのプレッシングは2CBに対してDCL、両SBにはリシャリソン、ハメス、アンカーのフィリップスには攻撃サイドのCH(基本アランだった)が寄せ、もう一人のCHがバイタルをケア、相手CHに対しては、HVが寄せる。両SHにはWBが対応していました。例えばコッホがボールを持つと、DCLがコッホに寄せ、ハメス→クーパー、リシャリソン→アイリング、アラン→フィリップス、ホルゲイト→クリヒという感じ。

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リーズの立ち上がりのビルドアップは、CBをつり出し、そのスペースを狙っていたように思います。エバートンとしてはクリヒが低い位置をとることが悩みの種となっており、5:00, 6:00とホルゲイトが喰いつき、そのスペースを使われるシーンが続きました。


ただ、クリヒがかなり低い位置をとった時はホルゲイトが自重し、アランがクリヒに気を取られるとフィリップスへパスを通されていました。そこからは、左サイドでアリオスキがおりて引きつけたデイビスのスペースを使って決定機を作っていました。
この時のダラスのオーバーラップのタイミングがドンピシャでデイビスとハメスがマーカーをスイッチした瞬間にデイビスの裏をとってました。

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エバートンは最初こそシュートまでいったものの、そこからビルドアップで良い展開を作れず。そんな中多分ハメスの判断でハメスが左CH、リシャリソンとDCLの2トップとなる3142のような形に変化する。
この時に数的優位の最終ラインからホルゲイトが持ち上がる。ハメスは左WBの位置に降り、ホルゲイトのスペースを作る。ホルゲイトはハメスのマーカーのフィリップスを引き連れ中央付近まで運び、DCLへ楔を出す。いったんはCBへ戻されるが、そこから左CHの位置でドフリーのハメスにパスが入り、飛び出てきたアイリングの裏のリシャリソンにパスを出すが惜しくもキーパーが先に触る。
最終ラインの数的優位とマンマークの弱点をついたいい攻撃だと思いました。

これに対してリーズは、ホルゲイトから持ち上がってバイタルまで運ぶシーンがよく見られたので、
20分あたりからホルゲイトが持つと、アランをマークしているクリヒがアランを消しつつホルゲイトに寄せるようにしていました。代わりにバンフォードがアランのマーク。
ただ、アランに比べてドゥクレは高い位置をとっていたので、ゴドフリーのドライブに対しては後手をとっていました。(他の選手の近くに来るまでは寄せられない)

ただこれは、クリヒのマーカーのアランが低い位置に降りた時しかやっておらずあまり見られませんでした。 

20分くらいからはリーズが優勢で試合が進みます。
リーズの多彩なビルドアップから、基本左サイドにボールを運びます。
そこに右CHのクリヒが左サイドまで行き、左サイドでひし形を作りそこでポジションチェンジを繰り返し、ひし形の一番下にいる選手が、またはその脇でフリーのフィリップスへ渡して、大外のハリソン(またはアイリング)へクロスをあげるパターンをこれでもかと繰り返しました。

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イウォビは下がりながら、ハリソンは助走をつけて飛べるのでハリソンの方が位置的に優位、またハリソンがタッチライン際で受けた際も、イウォビが寄せるのでそのスペースをアイリングが使えました。
20分以降に生まれたリーズの決定機の起点はほぼこの形だったと思います。

エバートンは3CBの数的優位を生かしてボールを運び、前ではハメスが自由に動いて
良い形は作れずに進みます。


40分すぎてからかなりオープンな展開になり、高い位置のショートカウンターでリシャリソンがゴールに迫るシーンも見られます。リーズはポジトラ時も左に運んで大外へのクロスを続けていました。ハリソンのヘッダーはポストに嫌われ、イウォビの前でフリーになったアイリングのシュートのこぼれ球もクリヒがわずかに外し前半を0-0で終えました。 

後半、両チーム、ミスが目立ちトランジションが多い展開でした。
リーズは、前半同様低い位置からショートパスをつなぎ、左で作って右に展開する攻撃を続けます。一方エバートンは低い位置から繋ぐビルドアップは行わなくなり、GK、CBからDCLに当てるシーンが目立ちます。

後半65分あたりで両WBが下がり、デルフがLWB、ゴメスがCHに入って、ドゥクレがRWBになりました。
そのタイミングでハメスもリシャリソンとポジションチェンジしていました。
リーズはハメスが左サイドにいったことでダラスも右サイドのポジションに流れ、守備時はRB、攻撃時はアイリング、コッホ、クーパーの一つ前のポジションをとっていました。
ここからリーズがハメスサイドで組み立てて、逆サイドに展開することを狙っていることがわかります。
このダラスが右サイドにいる時間帯は、右サイドから組み立てるシーンが目立ちました。この時も右サイドのビルドアップでアイリング、ダラス、ハリソン、クリヒでひし形を作り、旋回しながらポジションチェンジをしてフリーの選手を作っていました。

ダラスが、ハメスと一緒に元のサイドに戻った直後にゴールが決まります。
RSBアイリングがボールを持つと、ハリソンがサイドに張り、クリヒがデルフの横にポジションをとり、デルフに対して2vs1を作ります。
ハリソンにボールが入ると、デルフが寄せ、デルフが空けたスペースにクリヒが侵入し、ハリソンのパスを受けます。アイリングのインナーラップでフリーになったハリソンがクリヒのパスを受け、バイタルエリアでフリーのラフィーニャにパスを出します。
この時点でラフィーニャは前を向いているかつ3vs3。
ダラスのオーバーラップを囮にシュート、ゴールが決まりました。
このエバートンの守備のバイタルが開くシーンはよく見られ、課題だと思います。
アランとドゥクレが2CHを組むことが多いですが、両選手共にディフェンス時、対人に強いですが、ポジションを埋める意識が薄く感じます。特にアランはボールホルダーの視野が確保されていなければ、少し遠くてもボールを取りに行くことがあります。4141の時は1列前の4でブロックを作れているので良いですが、今回のケースだとボール取れなければバイタルがら空きになります。
今回はそれが顕在化したような失点シーンだったと思います。

雑感

エバートンとリーズは対照的だなという印象でした。
ハメスが中心のエバートンの攻撃とチーム全体でシステマチックに再現性のある攻撃を繰り返すリーズにはチームの練度という意味で大きな差があると感じました。ビエルサ体制3年目?でアンチェロッティもやっと欲しい選手を獲得できてというところなので仕方ないと思いますが。最近の試合で課題も明確になっていると思うのでこれからの試合はそこも楽しめますね。

あとリーズはいい選手多いですね。バンフォードは器用でポストもできて、ワンタッチシュートも上手で個の力で自分の得意な形に持って行けたりとすごく万能な印象を受けました。あとは、クリヒやダラス、アイリング。特にダラスは多分MFやけど、左SBやっとって。攻撃時はポジションチェンジが多いからあんまりSBとか関係ないけど、オーバーラップのタイミングも抜群で長いパスを蹴ることもできて。
この辺りの選手はビエルサが選手の特徴見つけてそういうポジションで使っとんかな。ビルバオの時もSBのデマルコスをトップ下らへんで使っとったという記事を見たことがあったと思う。
あとはドゥクレは、バイタルでボール持った時以外はほんまに素晴らしいですね!ボール持っとっても持ってなくても周りの選手をフリーにしたり生かしたりとサッカーIQが高そうなプレーをしている印象です。
エバートンとリーズとドゥクレには目が離せない!!!

20/21 PL 第4節 エバートンvsブライトン

 ブライトンは前節まさかの試合終了後のVAR判定でPKを与え勝ち点を失いましたね。

ただ試合内容も悪くなく、2節ではニューカッスルを3-0で破っており、厳しい試合になることが予想されました。

フォーメーション

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エバートンはいつも通り433で怪我したアランとゴメスに変わってデイビスシグルズソンが入りました。プレシーズンマッチではシグルズソンがアンカーを勤めることも多かったですが、今回はデイビスがアンカーでシグルズソンが一つ前でした。

試合内容

エバートンは変わらず、ボール保持時は433, ボール非保持時は4141のような形です。
一方ブライトンは、ボール保持時は3421, 非保持時は523のような形でした。
並べるとブライトンボール保持時は以下のようになります。

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ブライトンはビルドアップの狙いはアンカーデイビスの両脇のスペースで以下のような形で狙っていました。

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エバートンは基本DCLがCB間のパスコースを消し、相手の攻撃サイドを限定して、攻撃サイドのアンカー脇のアタッカー(トロサール、モペイ)にデイビスが寄せていました。そのため上記のシーンもデイビスタッチライン際までプレスに行き前を向かせませんでした。
また、別のシーンではホワイトがドライブで持ち出してモペイに楔を出すシーンがありましたが、ここではミナが寄せて前を向かせませんでした。

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ブライトンがいい形を作れていたのは、ハメスの裏のスペースからの崩しでハメスの戻りが遅れて、コールマンがつり出され芋づる式に崩されるという形です。
一方エバートンはいつもと同じような狙いで右サイドで作って左に展開するパターンが多かったと思います。ただ、右サイドからそのまま崩すパターンもありました。
以下のようにハメス、ドゥクレ、コールマンが旋回するパターンです。

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また、モペイがコールマンに付いてきてり、コールマンがドゥクレのスペースを使わなかった場合は、ハメスがそのエリアにドリブルで侵入します。この際、4バックで守る相手に対してはハメスからロングボールでサイドチェンジが多かったですが、今回は以下のようなシグルズソンを経由する形が多かったです。

f:id:maedanoma:20201017113305p:plainブライトンは5バックなのでロングボールを使うと、逆サイドのケアが間に合うため、ロングボール使わず、かつトロサール、コノリー、モペイでデイビス+4バックを見ているので前3人は高めの位置をとっています。そのため、2CHのビスマ、アルザーテの脇のエリアが空いているので、そのエリアでシグルズソンが受けてディニュに展開していました。
ただ、試合を決めたのはセットプレーとネガトラのシーンでしたね。
3点目はハメスがマーチのパスコースをわざと開けて、誘っていたようにも見えました。4点目はディニュのフリーランニングにララーナがつられて、ドゥクレのスペースが空いて、ニアポストで折り返してハメスの得点でした。

 

この試合で気なったポイントを2つにまとめました。

ポイント①:デイビスのアンカーの可能性

 この試合ではアンカーがデイビスでした。
デイビスの長所は、豊富な運動量、ディフェンス時の思い切りの良いタックル、あとはパスの質です。この試合でも後半に良い縦パスを出すシーンがいくつかありました。
課題としては、オフザボール、ディフェンスの軽さ、荒さです。
特にアンカーとして、ネガトラ時のポジショニングに問題があると思っていて、この試合でもボールウォッチャーになって縦パスを入れられるシーンも見られました。
ただ!課題の部分は、新加入アラン、ドゥクレの長所でもあり、パスの質、アイディアはデイビスの方が優れていると思います。そのため、課題の面はロールモデルになる2選手から学べるので、ぜひ彼らの長所を盗めるだけ盗んでパワーアップして欲しいなと思います。若い彼にとっては可能性しかないですね!!

ポイント②:ハメスのトップ下

ビルドアップの段階ではハメスの展開力を活かすため、右サイドの低い位置でボールを扱うことが多いですが、崩しの局面では、リシャリソンが流れの中でDCLと並んでトップに入るシーンがあり、その時はハメスが右サイドにこだわらず、バイタルエリアや逆サイドなど自由に動いていました。
バイタルエリアでは、ワンツーなどによるスモールスペースの攻略、一瞬のアイデアで決定機になるので、エバートンで一番バイタルで質の高いプレーができるハメスをトップ下の位置でプレーさせることで攻撃に厚みを持たせられていると思います。

最後に

10年ぶりのダービー勝利に向けて盤石の体制なのではないでしょうか!
期待しかない!COME ON YOU BLUES!

20/21 PL 第1節 エバートンvsトッテナム

エバートンは、最近毎年大型補強を行い注目を集めていますが、今年はハメス・ロドリゲスの加入もあり、例年より注目を浴びた開幕戦だったと思います。
そして、相手はトッテナムプレミアリーグで実績を積んだドハーティとホイビアという堅実な補強で開幕戦で当たりたくなかったなーという印象でした。

フォーメーション

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エバートンはホルゲイト、トッテナムはロチェルソが怪我でメンバー外ですが、両チームともほぼベストメンバーなんじゃないかと思います。
エバートンは注目された新戦力の3人が共にスタメン。実力は折り紙つきなので、あとは連携が上手くいくのか懸念でした。

試合内容

両チームともボール保持時、非保持時も基本はトッテナム4321、エバートン4141のようでした。また、両チームとも右サイドから組み立て、左へ展開するような攻撃が主体となっていました。
この試合最初のエバートンのビルドアップのシーンです。

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GKが持った時の位置どりは2CBの前にゴメスとアランが並びその一列前にドゥクレでした。ボールはピックフォードからキーン、キーンからディニュへ渡り、リシャリソンとワンツーでディニュが受け、ドゥクレに当てて前を向いてゴメスが受けています。相手のCBラインの一つ前でウィンクスに対してフィジカルで優位なドゥクレに当てて展開力のあるゴメスの前を向かせました。

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そこからゴメスはコールマンに展開し、降りてきたハメスが前を向いて持ちます。

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ハメスが持つと攻撃のスイッチが入り、DCLは楔を受ける準備、リシャリソンはRCBの裏を狙いドハーティを引きつれ、ドゥクレもDF-MFライン間に侵入しホイビアを引き連れ逆サイドに走り込むゴメスへのスペースとパスコースを作り出しました。
この試合では、このシーンのように低い位置で人数をかけて組み立てハメスに前を向いて持たせて、スペースのある逆サイドに展開して、リシャリソンが仕掛けたり、ディニュからのクロス、ゴメスがチャネルに侵入しニアポストからマイナスのクロスでチャンスを作り出していました。
一方トッテナムは右で組み立てサイドチェンジ、基本ソンのアイソレーションから縦に突破してクロス、切り込んでシュートという形が目立ちました。
試合開始早々のトッテナムの組み立てです。あとその時のエバートンのプレッシングです。
システム的に見るとトッテナムボール保持4231、エバートンボール非保持4141なのでトッテナムのCBが1枚余るのをどうするかがポイントになると思います。

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エバートンは基本アルデルヴァイレルトにボールを持たせて、ゴメスが縦パスを警戒しつつCHを見るという対応を取っていました。DCLはダイアーへプレスへ行くとRCBのアルデルヴァイレルとへは強く行かず、ダイアーへのパスコースを切っていました。ダイアーに比べてパスがうまいアルデルヴァイレルトに持たせていたのは、ハメスの守備への負担を減らす?または守備への貢献度が低いことがわかっている?ので、ドゥクレがハメスの裏のスペースをサポートする必要があるため、プレッシング時にドゥクレをゴメスのように前に行かせないようにする狙いがあったと思います。
トッテナムはアランの脇のスペースを使った攻撃を狙っており、両CHが右にずれホイビアはSBの位置どり、ドハーティは高い位置でサイドに張り、ルーカスも含め右サイドで数的優位を作っていました。リシャリソンはホイビア、ドハーティを気にしての位置どりでディニュはドハーティが張っているため、アルデルヴァイレルトから縦パスが入った際にルーカスを捕まえられずここから左サイドに展開されれます。
ここは後半開始時にも同じように縦パスを入れられていました。

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そのため、それ以降はゴメスがアルデルヴァイレルトに寄せに行き縦パスをさせないようにしていました。そのためトッテナムはドハーティにパスを通して組み立てようとしましたが、シソコとの連携がうまく行かずいい形が作れなくなっていました。

前半は決定機の数でいうとトッテナムが少し押す展開でしたが、両チームとも物にできず、0-0のまま後半へ。
後半はトッテナムはアリに変えてシソコを投入。エバートンの右サイドからの展開でリシャリソン、ディニュにいいようにやられていたのでフィジカル、運動量のあるシソコに右サイドを任せる狙いがあったと思います。ただその結果上記にも記載した通り、右サイドからのビルドアップがうまくいかず、徐々にエバートンペースに。54分あたりでディニュのフリーキックからDCLのヘッダーで先制点。その後、エバートンは試合を落ち着かせつつ、トッテナムが前がかりになって空いたFWとMFの間のスペースを使って何度かチャンスを作っていました。一方トッテナムは、エバートンの守備を攻略できず、ボックスの外からクロスを入れるシーンが目立ちますが、キーン、ミナに跳ね返され試合は終了しました。

 

この試合で気なったポイントを3つにまとめました。

ポイント①:ハメスとエバートンシナジー

一昨季、昨季とエバートンのストロングポイントは左サイドでした。ディニュの質の高いクロス、リシャリソンのカウンターからのゴール、アシストが得点源になっていました。ただ、昨季はディニュの攻撃参加は相手から警戒され序盤はあまり調子が上がらなかった印象があります。またカウンターからの得点がほとんどで再現性のある攻撃というのはあまりなかったと思います。
一方ハメスのストロングポイントは展開力、パスの質の高さです。
そのため右サイドでハメスに前を向かせる組み立てを行えば、左サイドに意図的にスペースを作り出せ、そこに質の高いボールを供給することができ、リシャリソン、ディニュが生きるという構図です。その組み立てという部分も去年はまともに行えていなかったですが、ドゥクレ、アランの加入により大きく改善されました。
つまり、組み立て(アラン、ドゥクレ)➡︎ハメスの展開➡︎リシャリソンの仕掛け、ディニュのクロスというエバートンのストロングポイントを生かした再現性のある攻撃が可能になりました。ハメスのストロングポイントを生かした結果、エバートンのストロングポイントも生きてきたという感じです。
今後試合を見るときは、この攻撃が基本となりそれに対して相手がハメスを抑えてきたとき、リシャリソンのスペースを作らせないため相手RBが絞らないときなどの対策に対するエバートンの答えというのが注目ポイントになってくると思います。

ポイント②:ドゥクレってすごい

この試合特に注目されていたのはハメスとアランだったと個人的に思っています。
両者共アンチェロッティの愛弟子。彼らがアンチェロッティエバートンにどういう効果をもたらすのか…。私自身もそこに注目していました。さらに実はワトフォード時代のドゥクレに対してあまりいい印象を持っていませんでした。ですが個人的にこの試合でハメスの活躍が霞むほど感動しました。期待度が低かったというのもあると思います。
ハビ・グラシアス時代はエバートン戦以外もたまに見ていたのですが、運動量、推進力があり攻守の要という感じでしたが、ファイナルサードでのプレーの質が低いという印象を持っていました。エバートンではサポート役に回った印象があるのですが、ワンタッチのパスの質が高く、ハメスが内に絞って空けたスペースを使ってコールマンのインナーラップをサポートするなど、オフザボールも含めプレーの質が高く驚きました。特にポジトラ時でのボールホルダーへのサポートが効いていてポジトラのタイミングで奪われてカウンター受けるシーン等ほぼ見られませんでした。ドゥクレすごい!

ポイント③:ハメスおらん時どうするん問題

これは今後アンチェロッティがどうするのか注目のポイントなのですが、今節はポイント①に書いたようにハメスからリシャリソンのホットラインでチャンスになるシーンが多く見られました。かつ再現性も見られました。
昨季終盤はバックパスで相手をプレスにこさせ、全体を間延びさせて再構築という方法で改善はされていましたが攻撃自体に再現性がない点が課題でした。
そのため、ハメスが怪我等で離脱した場合、昨季のように引いた相手に対する崩しができず攻撃停滞するんじゃないかなという…
そこで私はオプションとしてトップ下のイウォビを使って欲しいなと思っています!
昨季もイウォビが望んだトップ下でのプレーはほぼなく、終盤は相手SBを抑えるという守備的なタスクで攻撃での貢献が少なかったです。
ですが、アーセナルで実力は証明済みで周りを生かすプレーも得意なのでアランとドゥクレの加入でビルドアップが安定したいま、トップ下のイウォビが活きるんじゃないかと思っております。放出候補にもなっているらしいのでその前に試してほし〜!
イウォビになるかどうかわかりませんが、どちらにしろハメスいないときどうするのかは今後の注目ポイントです!

最後に

結果的にトッテナムとは開幕戦で当たってよかったなという印象でした。ほぼベストメンバーで挑めて、かつベイル、レギロンが加入する可能性があったので。
上の方では特に触れませんでしたが、昨季の終盤からマイケルキーンの足元に安定感が出てきていると思っていましたが、今節では相手DFラインの裏へ良いパスも出しておりコロナ中断中と開幕前でかなり成長した印象があります。このままホルゲイトが復帰するとCBのファーストチョイスはホルゲイトとキーンになりそうですね。

あとは、エバートンが変わりすぎてびっくりしましたね。最近は毎年大型補強しつつシーズン始まるとあれって感じだったので、それに慣れすぎて劇的な変化に本当にエバートンなのかという気持ちが大きいです。今年はCL圏狙える!

19/20 PL 第33節 エバートンvsトッテナム

 

トッテナムとは毎回タイトな試合になりますが、今回は2連勝と波に乗った状態で迎えました。さらに勝てば順位が交代するという状況でした。勝ちたかった!

 

 

試合総括

フォーメーション


実際は、中盤の並びが少し違って以下の並びだったと思います。
LSH:イウォビ
LCH:シグルズソン
RCH:ゴメス
RSH:デイビス

試合内容

エバートンはボール保持時は、2341のような形を作っていました。
両SBのコールマンとディニュが初めから高い位置をとり、彼らのスペースにデイビスシグルズソンが降りてました。トテナムは4231でまもってました。

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エバートンボール保持

エバートンの狙いとしては、サイドで数的優位を作り、高い位置を取っている両サイドバックをビルドアップの出口とすることだったと思います。そこから、相手CH、SBが寄せてきたところで、ライン間HSでイウォビ、リシャリソンに前を向いて持たせられるとチャンスになります。

前半は、主にトテナムの1FW+3MFのプレスに対し、2CB+3MFの数的優位になっていたため浮いたCBがドライブしたり、SBにロングパスするなどしてSB経由でチャンスを作っていました。

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ビルドアップ

ただ、いい形でシュートまで持っていくことはできず、一番ゴールに近づいたのはカウンターで奪ってリシャリソンがシュートした前半終了間際のシーンでした。
一方エバートンのボール非保持時は442でしたが、両SHの役割が全く違いました。

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ボール非保持時

これはレスター戦でも同じで、イウォビはチルウェルに裏を取られないようなマンマークに近い位置取りをしていました。
押し込まれて守備ブロックを作る際は両サイド一般的な442の位置取りをしていたと思います。
狙い2つあると思います。
1つ目はフィジカルが強く、運動量のあるイウォビのディフェンス力を買って、相手のストロングサイドのSBを抑えることだと思います。
実際、オーリエが高い位置でクロスを上げるシーンは少なかったです。
2つ目は、ルーカス、ロチェルソが低い位置まで降りたり自由に動くので中央を埋めるためにデイビスを内に絞らせていたと思います。
ベンデイビスがボールを持った時は、ミドルサードではデイビス、相手ファーストサードではリシャルリソンがプレスに行っていましたが、あんまり明確に決まっていなかったと思います。
ですがなるべくリシャリソンは高い位置に残して、ベンデイビスが攻めた時にきるスペースをカウンターで使いたかったと思います。
実際、前半8分くらいにその形でカウンターのチャンスになりそうでした。

前半はエバートンはアンラッキーな形で点を取られましたが、そのほかでは両チームボールをあまり苦なくボールを前に進めるも最後のところはしめてチャンスを作らせていませんでした。

後半はエバートンはイウォビに変えて、ゴードンを投入。
中盤はLMFはシグルズソン、LCHゴメス、RCHデイビス、RSHゴードンとなり、
ボール保持時は4231となりました。
前半重心が低かったエバートンですが、シグルズソンを一列あげたことにより、前にボールを運びやすくなりました。

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そのため、チャンスは増えましたが後半も攻めきれず0vs1のまま試合は終了しました。

まとめ

点を取らないといけない後半にイウォビを下げたことから、アンチェロッティはイウォビにディフェンス面で期待しているみたいですね。
イウォビはその期待に応えられていると思います!
イウォビがいるサイドをアンチェロッティが警戒しているということが分かりますね!



19/20PL第30節エバートンvsリバプール

 久しぶりの試合で久しぶりにサッカーを見ました。
やっぱり熱狂的なサポーターあってこそのマージーサードダービーだなと感じました!
無観客は無観客で選手の声が響いて臨場感があって良いですね! 

 

試合総括

フォーメーション

試合が始まってみると、ゴードンとイウォビは逆でしたね。

試合内容

エバートンは、攻撃では相手に前がかりにさせて
裏にボールを出す、守備ではSBまで前に2枚残して、しっかり守るというような感じでした。
結果は0-0の引き分けでしたが、エバートンの方がよりゴールに近かったかなと思います。デイビスのシュートは入ったかと思った!!さらにそのあとのCKでもいつも狙っている形(ニアで逸らしてファーで決める)からDCLのフリーヘッダー!80分前後はエバートンの時間でしたね。

注目ポイント

エバートンの狙い
・ゴメスの特徴
・最強のホルゲイト

エバートンの狙い

この試合ではGKのとき、低い位置から繋ぐという場面が多くみられたと思います。(主に前半)
でも低い位置からファイナルサードまでショートパスでつないでいこうという形ではなく、低い位置で数的優位で回すことで相手SBを引っ張り出して、
相手最終ラインの人数を減らして裏抜けを狙う、空中戦のこぼれ球を狙うという目的があったと思います。
空中戦のこぼれ球は立ち上がりにリシャリソンがシュートまで行っていましたね。
前半37分が組み立てがきれいにハマったシーンです。
相手RSBを釣り出して、そこを使いました。

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37分のシーン


ちなみに、GKからのときは、CBが縦に並ぶという珍しい形をとっていました。ですが、狙いはシンプルで基本的にCB→CBでフリーになるSBへ回すようにしていました。
リバプールはWGがSBのコースを消して寄せるのでSBへのパスコースがあるCB(キーン)を経由してSBへ渡して、スペースと時間を作っていました。

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ビルドアップ

ゴメスの特徴

この試合はゴメスの良い点と気になる点がよく現れた試合だったと思います。
良い点は展開力で、ビルドアップのときの質の高いサイドチェンジなどロングパスが印象的でした。また、戦術の問題なのかマルコシウバ時代に比べ、ボールを持つ時間が減り、テンポよく、ボールを回していたと思います。
一方気になったところとしては、守備の時の軽さです。
ゴメスは体が強いこともあってか、1対1になった時、奪うかファウルかというディフェンスになっていて、少しリスクが高いと感じます。
たまに、ゴメスが抜かれて芋づる式にディフェンスが崩れるシーンがみられます。

最強のホルゲイト

ホルゲイトの攻守の安定感、ビルドアップでの貢献度合いがすごい!
今後も期待しています!!

19/20PL第19節エバートンvsバーンリー ~アンチェロッティの初陣~

アンチェロッティになっての初陣。
私はアンチェロッティが監督をしていたチームでちゃんと試合を見たチームはナポリだけでナポリみたいなサッカーをするといいなぁと思いつつ楽しみにしていました。

試合総括

フォーメーション

まさかの右SHシティべでTwitterエバトニアンがざわついていました。
もちろん予想はできませんでしたが、ナポリの試合見ているとあり得るなという印象でした。理由は注目ポイントに書きます。

試合内容

エバートンがボールを支配する形で試合が進みました。
シウバ時代とはビルドアップの形などが異なっていって、中央から楔が入っていい形になるシーンも何度か見られました。
バーンリーもセットプレーから決定機も何度かありましたが、お互いに決めきれず0-0のまま試合が進みました。
が後半79分にシティべのクロスからDCLがダイビングヘッドでゴールを決め、アンチェロッティの初陣を勝利で飾りました。

 

注目ポイント

・可変ビルドアップ

・右SBシティべの狙い

可変ビルドアップ

エバートンはボール非保持時はフォーメーションにあるよう442で、ボール保持時は3421でした。
対してバーンリーはボール非保持時、基本442ですがエバートンビルドアップ時のプレスではバーンリーのプレッシングのルールにより、エバートンがビルドアップしやすい状態になっていました。

以下バーンリーのプレッシングのルールでポイントになった部分です。
1. マンマーク近い形でプレッシングを行う
2. 2FWはCHに対してプレスバックを行う

エバートンの右SBコールマンがボール非保持時のみ3CBの右として振る舞っていました。バーンリーはマンマークに近い形だったので左SHマクニールはCBコールマンの5mくらいにポジションを取っていました。しかし、左SBテイラーはシティべとリシャリソンを気にしていたのでそこまで高い位置を取れず、マクニールとテイラーの間のスペースが大きく空いてしまうことが多く、シグルズソンやリシャリソンがそのスペースで楔を受けるシーンが何度から見受けられました。
また、コールマンに対してはマクニールが近い位置取りをしていましたが、バーンリーの2FWはミナとホルゲイトにぴったりつく形ではなく、中央から運ばれないようにエバートンのCHに対してカバーシャドウを行ったり、プレスバックを行なっていました。
そのため、左に開いたホルゲイトへのプレスが遅れることが多く、ホルゲイトがミドルサードの高い位置までドリブルで運び、数的優位を作って崩すシーンが見られました。

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エバートンの可変システムによるバーンリーディフェンスのの綻び

右SHシティべの狙い

1. スピードに乗った状態でのクロス
2. ビルドアップでのコールマンとの入れ替わり

まず1ですが、ナポリ時代には左でオーバーロードを行なって右にできたスペースにスピードがある選手(ナポリならカジェホン)が走り込んでクロス、シュートというパターンがあったのでそれに近い形を狙っていたんだと思います。実際にスペースに走り込んがシティべが受けてニアポストまで運んだり、クロスから決定機を作る場面が見られました。
2については、ビルドアップ時にコールマンが3CBの右となりますが、
シティべが幅を取りつつも少し低い位置に降りてビルドアップのパス回しに参加した際にコールマンがパス&ゴーでインナーラップしたり、そのままドリブルで持ち上がるシーンが何度かありました。その時にボールを奪われたりした場合に、右SHは右SBとしてのディフェンスをする必要があります。

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コールマンインナーラップ(ボールの動き黒点線)

この2点からシティべを右SHにしたのではないかと思います。

 

まとめ

最初にアンチェロッティになってナポリみたいなサッカーしたらいいなと書きましたが、ナポリみたいなサッカーしていました!ジェネリックナポリ
もう新しいことばかりで見ていてめちゃめちゃ面白かったです!
また、アンチェロッティのサッカーで各選手の長所がより生かされているように感じました!
コールマンがマンチェスターシティのウォーカーのようなタスクで新境地を開拓しそうやし、シウバ政権ではトップ下で活躍しとったシグルズソンがCHでいいプレーをしたり、ボールを持つ時間が増えて早いパスを出せるミナが生きたりなど...
これからのエバートンが楽しみです!!!
Forza Everton!!!

19/20PL第11節エバートンvsトッテナム ~シウバの433~

今更トッテナム戦について書くのですが、シウバがエバートンに就任して初めて?433で戦ったので、ぜひ書いておきたいと思いました。結果としては、引き分けでしたがゴメスの怪我でかなり遺恨の残る試合となりました。

試合総括

フォーメーション

中盤の並びは実際は、ゴメスとデイビスが横に並んでその1列下がデルフでした。

試合内容

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試合内容

エバートンはビルドアップはダイレクトに行い、トッテナムにボールを持たせて
ハイプレスという形でした。特に前半はサンチェス、後半はエンドンベレがエバートンのハイプレスによりボールロストする場面が多く見られ、ポジトラからいい形でシュートにいく場面も多く見られました。
433の弱点?と言われるアンカーの脇は、エリクセンにうまく使われていましたが、
エリクセンが精彩を欠いていたため決定機にはいたらず。
ディフェンス面はかなり安定していて、崩されて決定機という場面はほとんど見られませんでした。

選手評

ホルゲイト

スピードを生かして、カウンターを防ぐなど安定感抜群のデフェンスを誇りながら、
ビルドアップの場面でも危なげなくボールを回し、たまに縦パスを入れるなど
攻守両面で活躍していたと思います。

トスン

途中出場でロスタイムに同点弾!!!
ゴメスの怪我もあり、このままでは終われないという場面でのゴールで感動しました・・・。

注目ポイント

今回は4141でのプレスについて書こうと思います。
正直1試合だけなので詳しくわかりません。また4141した時にもっと詳しくかければと思います。

4141のプレッシング

基本的にミドルサードまでは相手にボールを運ばせていました。
リシャリソンは激しくプレスに行く様子はなく、CBがボールを持ったら逆サイドのCBへパスされないようにコースを切っていました。
ミドルサードでHSを使ってCBがそのままドライブしてきたらウォルコットかゴメスが
寄せていました。どっちが行くというは決まってなさそうでした。
ですが、ここが難しいところで、ウォルコットが行くとBデイビスも少し探しパスコースを確保するのでサンチェスからのパスが通っており、赤のスペースから崩されていました。またゴメスが行った場合も、ウォルコットはBデイビスのコースを切るためあまり絞れず、赤いスペースでアリやエリクセンに受けられており、ここは改善が必要だなと思いました。
前半途中からBデイビスの位置からいい形を作られていたので、途中からは基本ゴメスが行っていました。

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4141のプレッシング

あとよくわからなかったのですが、同じCHでもプレスの度合い?が違いました。
ゴメスは相手CBがミドルサードに入っていなくてもCBにプレッシングに行っていましたが、デイビスは多分一切そういう動きは見せませんでした。デイビスとゴメスのポジションが入れ替わっている時も同じでした。なのでアルデルヴァイレルだからサンチェスだからという訳ではなさそうでした・・・うーむ、この試合だけではよくわからず。

高い位置のプレッシング

次は高い位置でのプレス。
まずは、相手がゴールキックからパスで繋いでこようとした時、これは黒字のルール。
これは、45分くらいにガッサニーガ→アルデルヴァイレルト→サンチェス→ガッサニーガ→デイビスと繋ごうとしたシーン。ウォルコットがサンチェスに寄せたタイミングでフリーになったデイビスにゴメスが寄せてエンドンベレにはリシャリソンがついて行っていました。結果としては、デイビスのヘッドをアリが受けようとしたが、シティベに寄せられて奪いました。
一方、相手のバックパスなど流れの中で寄せる時、これは青字。
ゴールキックのシーンとは違い、少し間延びしているため、SHが相手CBに寄せに行っても、CHは相手SBには寄せない。また、CFはGKやCBにプレスに行っているため、CHを見れないので、SHが寄せに行ったCBからSBにパスが通されるとSHが2度追いする。

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高い位置でのプレス

まとめ

ゴメスの怪我が思ったより、重症じゃなくてホッとしました。
ただ、大きな怪我であることは間違い無いので、しっかり怪我を完治させて戻ってきてほしいです。エバートンにはゴメスが必要で、復帰を心待ちにしています。
Twitterで回ってきたのですが、こちらからゴメスにサポートのメッセージを送れます!
https://www.evertonfc.com/news/1486710/write-your-message-of-support-to-andre

19/20 PL 第5節 ボーンマス 戦

今回は第5 ボーンマス 戦について書きます。
昨シーズンのボーンマスとの試合は、1勝1で勝ち越しています。
ボーンマスの試合はあまり見たことがなく、あまりどんなチームなのか知らなかったです。今シーズンの試合を軽く見た感じ、結構高い位置からプレッシングして、ビルドアップからも崩してくるような感じでハビグラシア監督のときのワトフォードに似ているなと思いました。

 

試合総括

フォーメーション

なんとゴメスが肋骨の負傷で欠場。CHはシュナイデルランとデルフが組みます。
前節同様左SHはイウォビがスタメンです。

試合内容

エバートンはボール保持時は4231, それに対してボーンマスは442で2CBに対して、2FWで人数を合わせて高い位置からプレスしてきました。
ゴメスがいるときは、そういう場合、すぐにCBラインに落ちて数的優位でゆっくりボールを前進させることが多いですが、今回はCHは降りずに、2CB+GK でボールを回していました。そのため、全体を押し上げる感じではなく、低い位置でボールを回して、
相手の守備ラインを間延びさせてスペースにロングボールで中盤はぶくという感じでした。がイーブンなボールになることも多くあまり効果的ではありませんでした。
そんな中、ボーンマスがCKから先制。その後も、昨季のエバートンのお株を奪うかのようにボーンマスショートカウンターエバートンの右サイドを脅かします。
ですが、逆にエバートンショートカウンターからDCLの今季初ゴールで前半1-1で折り返します。
後半はイーブンな状態からやはりエバートンの右サイドからショートカウンタで攻め込まれセットプレーから失点。その後も、ベルナルジ、キーンを投入しますが攻め手を欠き、ラインコントロールのミスから3失点目を喫し、試合終了となりました。

選手評

DCL:
今シーズン初得点!身体能力の高さを生かしたゴールで今後にも期待です。
ですが、ビルドアップの場面での貢献がもう少し必要かなと思います。
ロングボールをマイボールにしたりするのは得意だと思いますが、楔を受けると結構バタバタしている印象があるので、シンプルに叩いたり、キープして味方の攻め上がりをま待てるようになるとエバートンのビルドアップも安定感が出そうですね。
楔をワンタッチでさばいてテンポを落とさないようしたりなどトスンがうまいので盗んで欲しいですね!

リシャリソン:
このチームで唯一と言っていいほどボールを受けたらファーストチョイスにシュートがあると感じるプレイヤーです。
切り込んでシュートしたり、前半にもバイタルエリアから思い切ったシュートを打ったりなど・・・イウォビやシグルズソン、DCLももっと積極的にシュートして欲しいなーと感じます。

デルフ:
守備ではエネルギッシュなプレーでチームを鼓舞していたと思います。ですが、ビルドアップでは物足りなさを感じます。
イエローもらったときに「Everyone is fucking shit」と言って注目を浴びていましたね!笑

注目ポイント

エバートンのプレッシングです。

最初はボーンマスのCHビリングのCBライン落ちはそのままにして相手に前進を許していました。

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しかし、点を取られてからはリシャリソンがSBを消しつつ浮いているCBにプレスにいっていました。

それに対してボーンマスはもう一人のCHクックも低い位置まで下ろしてます。リシャリソンがSBを消しながら寄せるためCHクックへのパスコースは空きます。そのためシュナイデルランがクックに寄せるのですが、それによってコールマン、キーンの前にスペースができてしまっていました。

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このスペースでよくキングが1vs1でコールマンに仕掛ける場面がみられたと思います。ここではビルドアップの例をあげましたが、エバートンのネガトラ時もこのスペースを狙われており、ここをケアできなかったことが大きかったかなと思います。

 

まとめ

今節勝ってたら3位なってたんで惜しかったですね!
次節はビルドアップ時に変則的なフォーメーションをとるシェフィールド戦です。
個人的にも注目していて、ビルドアップ時にスリーバックの右CBのベイシャムがペナルティエリアまで上がってきたりとセリエAアタランタのCBのような動きをします。
チェルシー戦見ましたが、ビルドアップでは左サイドにオーバーロードを作って相手が寄せたら、右のベイシャムが上がって右サイドの広いスペースで数的優位を作り、そこでロングボールを受けて、スライドが終わらないうちにチャネルを狙うという再現性のある攻撃を行なっていました。そこをどう守るかも注目です。また、その分前がかりになるのでそこをカウンターで仕留めれるかが鍵になると思います。
次節とても楽しみです!!!

 

 

 

19/20 PL 第4節 ウルブス 戦

 

今回は第3節 ウルブス 戦について書きます。
昨シーズンのウルブスとの試合は、1分1敗で負け越しています。2試合目は黒猫が入って話題になっていましたね。

ウルブスは、低い位置からの組み立てもでき、何と言ってもカウンターが強力という印象です。特にボールを奪ってネベスから2トップのヒメネスまたはジョタにロングボール、2人のコンビネーションでフィニッシュまで持っていくのが得意なパターンだと思います。
 

試合総括

フォーメーション

 

怪我から復帰し、リンカーン戦に出場したデルフがこの試合でもスタメンに選ばれています。エバートンのメンバとして初出場になります。

 

試合内容

序盤から両チーム点を取り合いました。
ウルブスの連携ミスからリシャリソンが先制点、珍しくディニュが突破されトラオレのクロスからサイスのゴールで同点、シグルズソンのクロスにイウォビがあわせて勝ち越しと12分間で3点入りました。
その後は少しエバートンが優勢で進めますが、ベネットのスローインからヒメネスがきめて同点。そのまま終わるかと思いましたが、5分後にリシャリソンのヘディングで再度勝ち越し!!!素晴らしい!!!!
 

選手評

リシャリソン:
昨シーズン初戦同様ウルブス戦で2得点!
攻撃面では右サイドから左足で切り込んでシュート打ったり、サイドチェンジしたり、
縦に仕掛けてクロスあげたりとバリエーションを提供していました。
さらにウルブズの左サイドでのビルドアップ時は、左CHのサイスが寄せて、1FW+リシャリソン vs ボリ+ヴィナーグレ+サイスのように数的不利になる場面もある中、精力的にプレスバックを怠らず、守備面でも貢献していました。


イウォビ:
ナイスゴール!

 

デルフ:
派手なプレーはないですが、パスの出し方とか相手の逆の取り方とかがうまかったです。守備でもカウンターになりそうな場面で潰したりといいプレーを披露していました。グバミンが戻ってくるまではデルフとゴメスで行きそう。


ゴメス:
たまにパスミスしたりと調子があまり上がってないようでしたが、守備では体の強さを生かしてボールを奪ってカウンターの起点になっていました。

 

注目ポイント

エバートンのビルドアップ、プレッシングの部分です。
まずはエバートンのビルドアップ。ウルブスはプレミアリーグでは珍しくボール非保持時に532になるので取り上げました。
まず、ウルブスのFWのCBへのプレッシングの開始点はおそらくミドルサードへ入ったくらい。そのため、CHがCBの間に落ちるという場面は少なくCB陣は落ち着いてボールを前進できました。
そして、5バックをイウォビ、リシャリソン、キーンでピン留。ウルブスのCH(デンドンケルとサイス)がSBに寄せるのですが、広範囲をカバーする必要があり、サイドチェンジでスライドが遅れることがあります。
そのため、SB前にかなりスペースがあったのでビルドアップは特に苦もなく行えていました。

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ビルドアップ

こちらのヒートマップを見ても分かると思います。

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ヒートマップ by WhoScored

そこから、今節よく行なっていたパターンはSBのアンダーラップで相手CHを連れて行き、相手CHが開けたスペースをSHや、CHが使う、というもの。
そこでフリーになったSH, CHはクロスを入れたり、キーン, シグルズソンに楔を入れたりしていました。
ここでは例としてコールマンがアンダーラップでサイスを連れて行き、空いたスペースをゴメスが使ってクロスを入れる説明。

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崩し

続いてプレッシングです。プレッシングについては昨シーズンと違ったため取り上げました。
ウルブスのビルドアップは、3CBが開いて3142または開いた3CBの間にネベスが降りて442となります。システム的に見ると噛み合いますが、昨シーズンは相手の3CBに対して2FWがプレスに行っていて、ウルブス側に数的優位でボールを持たれて後手後手に回っていました。が今節は、3CBの真ん中コーディにキーンが、ネベスに対してはシグルズソンが、サイドに開いたHVボリー, ベネットに対してはリシャリソンとイウォビがプレスに行っていました。そのため、ウルブスは昨シーズンのように思い通りにビルドアップできていなかったと思います。ビルドアップは低い位置からのロングボールが多く、また、ショートパスでつなぐ場面では、CHがサイドに開いて数的優位を作るという場面が見られましたがチャンスには繋がっていませんでした。

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プレッシング

 

まとめ

昨シーズンはウルブスと勝ち点差3(ちょうど直接対決の勝ち点差分)で7位を譲りましたが今回、7位ひいては6位以内を目指すライバルとの直接対決に勝てたのは大きいですね!ウルブスは控え選手の層が厚いですね。この試合でクトローネ、ヴィナーグレ、サイス、トラオレがいい仕事をしていました。エバートンは攻撃のオプションはありますが、ディフェンス、特にCBの控えが物足りないですね。。。ホルゲート頑張ってほしい!
次節はボーンマスです!頑張れみんなのエバートン

19/20 PL 第2節 ワトフォード 戦

 

今回は第2節 ワトフォード 戦について書きます。ワトフォードはプレッシングからのショートカウンターが得意なチームという点でエバートンに似ているという印象があります。

今回私が注目していたのは、第1節のクリスタルパレス戦の記事(https://maedanoma.hatenablog.com/entry/2019/08/16/224306)にも書いたように、人数を合わせてプレッシングされた時のエバートンのビルドアップです。クリスタルパレス戦では相手が高い位置から人数を合わせてプレスするということはなく、数的優位を作りながら比較的簡単にミドルサードあたりまでボールを運べていました。ワトフォードはそうはいきません。昨シーズンはそういう相手に対しては無理せずロングボールを蹴っていたのでシウバ政権2シーズン目ではどう対応するか見ものでした。

 

試合総括

フォーメーション

 

怪我で出場が心配されたゴメスでしたがメンバーに入ってしました。シュナイデルランの出場停止でその枠にグバミンが入ったところ以外は第1節と変わらず。

 

試合内容

前半開始10分、ディニュのロングボールからベルナルジが一人でフィニッシュ!エバートンは昨シーズン後半、調子は良かったですが、セットプレーからの得点が多く流れの中からの得点が少なかったと思うので、今シーズン最初のゴールが流れの中から決まって良かったです。

しかしここからはワトフォードが少し優勢という感じで試合が進みます。相手CKからのヘッドがポストを叩くシーンもありましたが、後半途中までは危なげない戦いをしていたと感じます。後半の途中から相手のGK、CBからのロングボールをミナとディーニーが競合い、その裏でウェルベック、グレイとホルゲイト、キーンが2対2になる場面が何度かありました。その流れで、GKと1vs1の決定機を作られるシーンがありましたが、ピックフォードのスーパーセーブでなんとか防ぎました。

一方、攻撃陣も劣勢の中要所でカウンター、セットプレーから決定機を作っていましたが、決めきれず...

ですが、最終的に2試合連続クリーンシートを達成できたことは守備陣の自信にもつながったと思います。特にミナは昨シーズンはサブであったながらも、今シーズンの2試合は攻守両面で多大な貢献していると思います。

 

選手評

ゴメス:
攻撃面ではもちろんのこと、高い位置からのプレスでチャンスを作るなど守備面でもいいプレーをいくつも披露していました。守備時にファウルが少なかったのがショートカウンターにつながったと思います。
一方、カウンター時の守備で簡単に入れ替わられることがあり、そこ最悪いつものファウルで止めてくださいよという場面も。
 
グバミン:
ゴメス同様攻守両面で活躍していました。守備ではまだシステムに入りきれてない部分を感じますが対人守備の強さは随所で見せていたと思います。また攻撃面ではダイアゴナルなパスで攻撃を展開する場面もありました。しかし、ボールロストとパスミスが多いのが玉に瑕。

コールマン:
左SBもできる。切り込んでシュートまで打っとった。すごすぎる!

キーン、リシャリソン:
決定機!!!!

 

注目ポイント

ハイプレスに対するビルドアップです。最初に書きましたが、昨シーズンは無理せず、ロングボールを蹴っていましたが果たして・・・
下に添付した動画の一番最初の綺麗にハイプレスをかわしたシーンをピックアップします。
このシーンではスペースを連鎖的に使ってシステマチックなビルドアップになっていてとても美しかったです。

まず、「綺麗にかわす1」の動きで相手SHを下げ、相手CFを開かせ、真ん中の数的優位のスペースを作ります。そして、「綺麗にかわす2」で真ん中の数的優位を利用し、相手に後手に回らせ、ゴメスがフリーで前を向ける状況を作り出しました。

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綺麗にかわす1

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綺麗にかわす2

他のシーンでは、うまく相手SHの裏のスペースにいるSBを使っていました。
昨シーズンよりピックフォードのパスがうまくなっているような気が、しかも右足。(気のせい?)
もちろん! しっかり観客席に打ち込んでいるシーンもありました!笑
また、CBがミナになってことで、ズマなら簡単にGKに返すようなところでもスキをみてCHにパスを通すようなシーンもありました。昨シーズン安定した守備を見せていたズマが抜けたことで少し不安でしたが、ビルドアップの面ではミナが随所にうまさを見せていますし、2試合連続クリーンシートなので結果として良い方向に進んでいますね。

 

まとめ

第1節も含め確実にビルドアップのところが昨年よりよくなっておりビッグ6との試合が楽しみです。次は、アストンビラ戦。
ビラはトッテナム戦をみた感じ、エバートン戦でも低い位置でから繋いで行こうとすると思います。また、トッテナム戦で点を取ったときのようにカウンターに迫力がある(特にマギン)チームなので、後半オープンな試合展開になる前に、相手のビルドアップをハイプレスで捕まえて早い時間帯で先制点を奪えればなと思います。アストンビラ戦ではプレッシングに注目してみていこうと思います!

19/20 PL 第1節 クリスタルパレス戦

今シーズンも始まりました!
今年もよろしくお願いします。


本日は開幕戦であるクリスタルパレス戦について書きます。結果としては0-0で引き分けでした。結果とメンバーだけ見ると昨シーズンも後半に調子が良かったながらも勝ちきれなかった相手に昨シーズンと同じようなメンツで挑んだところ同じ結果になったというなんとも言えない状況です。
しかし、試合内容はシウバ政権2シーズン目となり1シーズン目のウィークポイント改善に取り組んだ跡が見えました。

 
試合総括


メンバーはゲイエが抜けたところ以外は変化なしでした。注目はCHの組み合わせです。昨シーズンゲイエが怪我で離脱していた間にもなかった組み合わせを今シーズンになって使っているところビルドアップにも重みを置きはじめた感じがあります。(または保守的に既存メンバーから守備力が高いシュナイデルランをゴメスのパートナーとして選んだか...)


試合内容としては前半はエバートンが狙っている形はあるもシュートまで行かないという場面が多く見られました。流れはエバートンにあり、攻撃時はCBラインのパス交換から全体を押し上げ、相手を自陣に押し込む形で危なげない試合運びをしていたように思います。ですが、前半終了間際のゴメスが負傷交代でグバミンが突然のエバートンデビューを果たしました。
後半はクリスタルパレスのカウンターからいくつか決定を作られました。モイゼ・キーンのデビューもありましたがシュナイデルランの退場もありその後は引き分け狙いでした。
クリスタルパレスが攻勢に出る中、リシャリソンがうまく時間を使っていたなという感じでした。
前半後半での大きな違いはゴメス⇨グバミンの交代です。前半はゴメスがボールを落ち着かせつつ、CBとのパス交換からじわじわと押し上げ、相手を自陣に押し込みカウンターをリスクを減らしていました。一方、後半、グバミンはボールを持つと縦への意識が強く、縦パス、ワンツーで低い位置からも相手を剥がしてボールを前に運ぶという形が多かったように思います。それもあって、低い位置でボールを奪われる回数が増え、相手にとって高い位置から攻撃が行われ決定機という場面が見られました。


注目ポイント

昨シーズンウィークポイントだった引かれた相手への攻撃についてです。そこに対してシウバが改善した部分が少し見えました。
昨シーズン同様無理に中から攻めずにサイドから崩そうとしています。ですが、右サイド、左サイドで崩し方が違いました。


ビルドアップ

まずビルドアップはSBが上がったスペースにシュナイデルランまたはゴメスが降りて2CB+1CHでパス交換しつつ押し上げます。


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右サイドで数的優位を作る

右サイドから攻める場合はシグルズソンが右サイドのエリアに降り数的優位、数的同数を作り、コンビネーションから突破してクロス、切り込んでシュートという狙いが見えました。


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左サイドでスペースを作る

一方左サイドはシグルズソンが右サイドに行くのでその分スペースができます。またCBラインでのサイドチェンジにより相手のスライドが遅れるので、そこでチャネルを攻めるという狙いが見えました。


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所感

引かれた相手に対する攻撃について書きましたが、次のワトフォードは高い位置から人数合わせてプレスに来ると思うので、そこにはどう対応するかが見ものです。去年までだとそういうチームに対しては無理せずロングボールでプレス主体でした。多分ゴメス間に合わず、シュナイデルラン出場停止なのでそこはそのままなのか。
試合総括に色々書きましたがもちろんグバミンを責めてるわけではないです。ゴメスの交代で突然出たにも関わらずファイナルサードではワンツーで相手を剥がそうとしたり、楔を入れたりなど攻撃面での貢献、特に下がった相手に対して今までのエバートンになかったアイデアを提供してくれそうな感じがしました。なのでめっちゃ期待してます!
あとシュナイデルランについてですが昨シーズンは結構批判されることが多かったように思いますが、クリスタルパレス戦ではビルドアップで少なくない貢献をしており、またカウンターの芽を潰す場面も多く、退場しなければひいき目に見てMOMM(Man Of the Match by Maeda)でした。

CLファイナリストとの差 その2

前回の続き
開幕直前に昨シーズンのエバートンについて振り返ろうぜ!という意図はなく、気づいたら本日19/20 の開幕戦でした。今更なのですが、ビルドアップ、プレッシング部分だけ振り返ろうと思います。
前の記事を読んで期待していた人いましたら申し訳ありません...(おらんかったかもしれんけど!)
 

ビルドアップ

まずはエバートンの今シーズンのビルドアップについて振り返ります。
もちろん、ビルドアップ自体相手のプレス戦術に合わせて行なっているため、
ここで書くのはこういう傾向にあったというものです。
便宜上、以下の4つの期間に区切って説明します。

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区切り

 

第1期

開幕からゴメスが出場するまでの期間。
以前からのエバートンと同じようにサイドの攻撃が中心になっていました。
ビルドアップも時間をかけず縦に早くという場面が多かったと思います。
プレッシングがメインでロングボールもよく使っていました。
 

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第1期の攻撃
 
 
 

第2期

ゴメスが出場してから17日間の休みまで。
この時期はゴメスにボールが集まってファーストサードからミドルサードへの持ち上がりがスムーズに行われるようになっていたと思います。
攻撃はゴメスを入れて工夫しようとしているのは感じましたが、第1期と変わらずサイドが中心でした。また基本的な狙いもSB裏ついてクロスとあまり変化を感じませんでした。
あとゴメスが溜めを作っていたのですが、持ちすぎ&低い位置で奪われてショートカウンター喰らうということもありました。ゴメスを使った低い位置からの組み立てに固執していた感じがありました。
 

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第3期

第1期に似た形。 ビルドアップも時間をかけず縦に早く。
メンバーとしてはゴメスの怪我もあって中盤はシュナイデルランとゲイエ。
第1期の形を極めたような感じ強豪相手には高い位置からのプレスでショートカウンターがメインでショートカウンターからは良い形が作れていました。また、第2期で問題になった引かれた相手に対しての攻め手がないという部分には、第1期の時のようにシンプルにサイドから攻めることで悪い奪われ方をする場面は減ったと思います。
 

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第4期

第3期にまとめても良かったが、来季に向けて中央からの崩しを色々試しているみたいだったので第4期として分けました。
37節のバーンリー戦とかは、ビルドアップ時は右SHのリシャリソンとOHシグルズソンがポジションチェンジして442でビルドアップする場面もありました。
そして最終節のトッテナム戦は可変でSBのズマが⇨右CBとしてビルドアップ、CHが攻撃に参加する場面が見られたました。可変システムが好きな私としては
このようなシステムを試したことで来期がとても楽しみに感じました。

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第4期の攻撃

トッテナムとの差

昨シーズンの最終節をみて、やはりビルドアップが大きな違いになっていると感じました。プレッシングの強度はエバートントッテナムであまり変わらないと思います。(やはりバリエーションはトテナムの方がある)

トッテナムのビルドアップでエバートンと差を感じたことは以下です。

  • バリエーション
    サイド、中央と局面に応じて様々なルートでライン間にパスを渡されていました。ルーカスがCHが付きにくいポジションに降りてきたり、シソコがSBの位置に降りたりと、相手の嫌なところをついて守備側を後手に回らせるのがうまいと感じました。
    エバートンは主にサイドでした。
  • 属人性の低さ
    人の動きでスペースを作り、そこにCF、OH、SHが降りてきたりと
    人に依存したビルドアップがあまりなかったと感じました。もちろんエリクセンのうまさやシソコの強さを生かした部分もありましたが、ビルドアップが人に依存していないところがフォーメーション、人が変わっても1シーズン戦えるところかなと思いました。(終盤に調子落としてましたが)

プレッシング

エバートンはボール非保持時は4-4-2になります。
よくあるパターンとして相手が4-4-2の場合と4-3-3の場合について記載しようと思います。

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4-3-3

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4-4-2

プレッシングは、昨シーズンを通して結構安定していたので今シーズンは
そこまで大きな変化はないかなと思っています。
ですが問題自体は、3つあると思います。

  • シグルズソンの守備力に依存している部分が大きい
    シグルズソンがかなり献身的に守備をするので相手もビルドアップで手こずることが多いです。守備面で変えが効かない一方、攻撃時はフィニッシュに絡む機会は多いがビルドアップにはあまり貢献しないこともあり(第4期はよかった)引いた相手には苦戦すること多かったです。
  • ズマの代役
    安定感のあったズマの代役が必要です。
  • ゴメスの守備力
    攻撃力のあるゴメスを使っていってほしいと思うのですが、シュナイデルランと比べて守備力が低いところです。具体的にはゴメスは足が早くないので守備時にはファウルで止める場面が多いです。昨年はプレッシングがエバートンの生命線になっていたので後半シュナイデルランが主に使われていましたが、今年はビルドアップからの攻撃にも期待しているのでゴメスには頑張ってほしいです!

最後に

今シーズンもマッチレビュしていくのでよろしくお願いします!
本日クリスタルパレスとの開幕戦でマッカーシーがでるかもしれませんが、
マッカーシークリスタルパレスで活躍してくれることを祈っています!泣

マッカーシーエバートンで活躍していた時期は、少ない補強金でうまくやりくりして上位に食い込むチームという感じでしたが、最近は(今シーズンは特に)お金をかけて補強してビッグ6を狙うという感じになりましたね。こういう形でチームが強くなると前から応援してた私としてはちょっと寂しいですが、エバートンがビッグ6に食い込むようなチームになって勝ち星が増え、嬉しい日が増えるのもいいですね!

CLファイナリストとの差 その1

CLファイナリストなのでライバル リバプールかと思いきや、18/19 PL最終節で戦ったトッテナムのことです。笑

 

はじめに

今回は18/19 PL最終節、エバートントッテナムの試合を元に今シーズンのエバートンについてビルドアップ、プレッシング、セットプレーの観点から振り返って行こうと思います。

また、それらを踏まえ、補強ポイント、ざっくりですが来シーズンの予想について話したいと思います。


まず、最終節のときの状況についてですが、8位のエバートンにとっては9位のレスターとの勝ち点差が2であるため最低限引き分けたいところでした。得失点が5くらい開いてるため引き分ければ8位は確実でした。

 

トッテナム戦の総括

試合としては、2-2の引き分けでした。

前半開始早々、CKからトッテナムが点がとりました。戦い方としては両チーム共プレッシングは高めの位置から、ビルドアップは丁寧に繋いでいくという感じでした。今回のエバートンは可変システムでビルドアップが興味深い形でした。一方、プレッシングではCBラインに降りたCHの対応に苦労しているようで結構ライン間までボールを運ばれていました。が決定機になる前に止めれていました。特にKWPからの仕掛けをディニュが封殺していました。

カウンターでは、トッテナムはボール奪取しても急いでは攻めず、一旦後ろに渡して組み立て直していました。エバートンはいつも通りボール奪ったら縦に早く行っていました。

後半開始からトッテナムはアリを下げて、ワニアマを入れてエリクセンを一列あげました。トッテナムとしては勝っているのでカウンター狙いっぽかったです。でもエバートンとしては、エリクセンがビルドアップにあまり関わらなくなり、トッテナムがSBから組み立てようとする機会が増え、エバートンのプレッシングにハマっているようでした。その後も均衡状態でしたが、エバートンがゴメスとルックマンを投入します。そしてその2人の組み立て、崩しからウォルコットが左足で!得点。この場面を観ると、ゴメスの展開力とルックマンの仕掛けが完璧で先発で使わないのがすごくもったいなく感じますね。ゴメスの展開力は、今のエバートンのMFで唯一のものだと思います。また、ルックマンの仕掛けもゾーンの間に仕掛けて、引きつけて、パスと完璧でした。その後はCKからトスンが決めて、逆転、ですぐにエリクセンのFKから同点という一気にゲームが動いて試合終了しました。

 

試合の総括はこれくらいにして、続いてトッテナム戦から今シーズンのエバートンのビルドアップについて振り返りたいと思います。

 

つづく...

チェルシー戦

3/18(月)のチェルシー戦、

主にチェルシーに対するエバートンのディフェンスの仕方について書きました。

オフェンスについても少し。


ディフェンス

噛み合わせ:

エバトンディフェンス時のシステムの噛み合わせですが、チェルシー433に対してエバトンは442なのでジョルジーニョが余ります。

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これに対してエバトンは前回同様ジョルジーニョに対してFWが1人つくという形。

ただ前回と違う点は、シグルズソンマンマークしているところ。

前回はたまにDCLがジョルジーニョについているシーンもありましたが、今回は完全にシグルズソンマンマーク。というか DCLはカバーシャドウ以外でジョルジーニョをあまり意識せずFWのプレッシングに専念していました。(このシーンでもDCLはジョルジーニョには寄せずCBにプレスに行く。)

これはDCLが前線の起点として計算できるようになったのでDCLを前に残すという意図があったと思います。

ジョルジーニョをマークすることで、相手の攻撃をサイドに誘導していました。


奪いどころ:

奪いどころは主にサイドとジョルジーニョの箇所。

まずサイドはいつも狙っている場所です。

ただ普段と違うのはサイドバックにボールが入っても高い位置からプレスに行かない。ダビド・ルイスがボールを持ってハーフウェイラインを超えたところでリシャリソンがプレス、DCLがプレスバックで狙っていました。

もう一つはジョルジーニョのところ。

こちらは前回同様、2FW、2CHジョルジーニョ囲んで入ったら挟んで奪ってショートカウンターという意図が見られました。


チェルシーの攻撃:

前回はジョルジーニョ封じで中央を防がれ守備ボックスの外からの攻撃でなかなかいい形が作れなかったチェルシーですが、今回はサイドチェンジからライン間HSやチャネルを狙った攻撃でチャンスを作っていました。

 


エバートンの対策:

前半は上記の攻撃でチャンスを作られていたエバートンですが、

後半は開始早々点をとったこともあってかディフェンス時にSHがあまり高い位置まで

追わずに、サイドチェンジに対応してHS、チャネルを使わせないようにしていました。

こちらがわかりやすいシーンです。まず、前半の対応です。

前半はバークリーの低いポジション取りに対してリシャリソンが寄せたことで

リュディガーのサイドチェンジを受けたアロンソにコールマンが寄せることとなりライン間のHSを使われてしまっています。

 

一方、後半はバークリーの低いポジション取りに対してはゲイエが寄せ、

アロンソにはリシャリソンが寄せ、HSを使わせませんでした。

前半のチェルシーの有効な攻撃に対して、後半しっかり対応できたことが無失点につながったと思います。


オフェンス 

ビッグ6に対しては無理に繋いで攻撃を組み立てることはないエバートンですが、

今回うまく行っていたパターンがありました。

それはサイドチェンジから右サイドを崩す攻撃です。

チェルシーのプレッシングの方法としてはファーストディフェンダーのFWが逆サイドにいる場合は、CHがCBまでプレスに来ます。それにより中盤が薄くなったところを攻めるという攻撃です。

以下のシーンではエバートンの左サイドにイグアインが寄り、キーンにボールが渡ったためCHのバークリーがプレスに来ました。バークリーはゲイエを隠しながらプレスにくるのでアザールがリシャリソンとコールマンの2つのコースを見ないといけなくなります。HSに通すわけにはいかないので、コールマンのコースを開けて高い位置でコールマンがフリーでボールを持つことができました。

24:50あたりでもほぼ同じ崩しがあったのでもともと狙っていた攻撃だと思います。

エバトンのディフェンス(vsリバプール)

主にエバートンのディフェンスについてです。


エバートン
ボール保持時:4231
ボール日保持時:442


リバプール
ボール保持時, ボール非保持時:433


システムの噛み合わせを見ると
エバートン守備時に442 vs 433となるのでリバプールのビルドアップの時にファビーニョのあたりをどういう風に守るのかが気になりました。

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開始直後をエバートンは、右シグルズソン、左DCLでCB間の横パスが出たタイミングで、シグルズソンがファンダイクにプレス、同時にDCLがファビーニョマークという動きで真ん中のパスコースを切っていました。

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ボールがサイドのアーノルドに行くとベルナルジが縦を切ってプレス、ファビーニョのコースはシグルズソンがカバー、
ヘンダーソンにはゲイエがマークして前を向かせないようにしていた。

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また、ファビーニョがCBの間に降りて、最終ライン3人でビルドアップをする場面では、マティプにボールを運ばせて、
シグルズソンファビーニョへのパスコースをカバーしつつプレスバック, マティプがAアーノルドに近い高さまで来たらベルナルジがプレスに行ってアーノルドへパスを誘導するしてサイドにボールを追いやりパスコースを消す。

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ヘンダーソンが降りていくこともあったが、その時もCBがボールを前に運んだ時と同じように守っていました。

という風にリバプールは色々試していましたが、チャンスは基本的にカウンターで、ビルドアップではあまりいい形は作れていませんでした。

ですが、アーノルドが高い位置、マティプが低い位置でCB、GKのパス回しでフリーになりボールを持ちが上がるとき、マティプに対して誰が行くのかというのがあいまいになっているようでした。

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(ゲイエ、ベルナルジどっちが行くのか)


そのため、後半が始まると、シグルズソンとDCLの距離感が前半より広がっていましたが、CBの持ち上がりに対して前からカバーに行けるようになり、前半より縦にコンパクトになっていました。

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(シグルズソンファビーニョによらず、マティプファビーニョ両方見れるポジション)


たしかに1度シグルズソンのプレスが遅れてマティプの持ち上がりからサラーが決定機を迎えた(キーンに見せ場を作った!)がそれ以外、マティプが攻め上がって決定機という場面は見られなかったのでそれがうまくいったのかなと思います。